いつかのムス×ムス

好きなものを好きなように。

真田丸 第6回「迷走」

自分的サブタイ:「信繁、はじめての挫折」。

 

 第6回にして、ようやくの主人公回ですよ!!!

今までオジサンオジサンオジサンたまに女子会そしてオジサン!! だったのがようやく青年の若き主張を聞けた回です! もちろんオジサンも大好きです!!

 

  

安土からの脱出行。

姉・松を助けられず、松の後を追いそうな義兄・小山田茂誠にかける言葉が「生きていてこそです!!」。

まだ若い信繁が、ただただ素直に義兄を励ますために使っているこの言葉が、いずれ、関ケ原で敗北し配流になり、10年以上の蟄居生活ののちに失意のうちに亡くなるという昌幸に、そして、敗北し続けの自分自身にかける言葉になるのかと思うと、すでに泣けてくる。

 

その頃真田の郷は混乱の最中。 

室賀の「黙れ小童ぁ!」 前々回、前回に引き続きの様式美(笑)。繰り返しのギャグのセオリーは3回と言うけれど、これで見納め? それとも次回、信之兄さんが息を吸った瞬間に叫ぶという完成形を見せてくれるのかしら。

 

そして高嶋政伸による怪演・北条氏政。笑い方が完全に悪役です。

息子の北条氏直の役者さん。見覚えあるぞ? と思ったら、堺さんの主演ドラマ「JOKER 許されざる捜査官」の第1回の犯人役だった細川善彦!! 「JOKER」では子供を嬲り殺す残虐な犯人だったけれど、今回も、父親に静かに従う息子のように見えて、若干不穏な雰囲気をまとっているような……。

 

信幸と信繁に見せる顔の違う父。 

でもさ、父親って、きょうだいのなかでこういう子供好きだよね。屈託なく、親が好きで勘が良くて、親の気持ちを読むのに敏く、親の望むものをスッと出せる。

次代の家を託す相手として信頼し、対等の人間として接し、弱さも見せられるのが長男。

自分のそばに置き、自分の鏡として愛を注ぐのが次男。

「大博打じゃ~!!」と気炎を吐く父親を見る信幸と信繁の表情、前者は硬く、父親の言葉に簡単には頷けていないにの、後者は期待に満ちているのが印象深い。

 

歴史知識が無いので、毎回放送後にネットの海を漂うんですが、松姉さん生存行方不明ルートが、まさかの史実というのが一番の驚き。

出浦昌相が自らをいう「素破(すっぱ)」という言葉、忍びのもののことだよね? というのは知っていたんだけど、「刃物を突然抜く」という意味からも来ているそうで。今回の登場シーンがまさに「刃物を突然抜く」でした。わかりやすい。

 

 

【今週の若様】 

才気走り、一歩引いた姿勢の割に自分の手柄をアピールする鼻もちならさ、高慢さとか、ちょっと頭のいい15歳が陥りそうな罠。

そして自分の能力を過信したゆえの失敗と挫折。

世の中が大きく動いている中で、力の小さい一武家の、何の実績も持たず、「ものごとの中心」にかかわらせてもらえない次男坊が、自分を支えてきたプライドが初めて崩れた瞬間。いいですね若さですね。

そしてきりちゃんに冷たくされて(でもその冷たさはむしろ戦国の世において冷静な知見でもある)梅ちゃんに泣きつきに。

 

でも「何も言わずに聞いてくれ」とかかっこつけたわりに「……あの、何か言っても構いませんよ」とちゃっかり慰めをねだる甘え上手の次男坊! このずうずうしさしたたかさ、これは今までの三谷脚本堺キャラになかった新境地! ああ、この信繁なら、信繁なら、山南さん(『新選組!』)や家定(『篤姫』)に越えられなかった「自らの才の無さに絶望しゆるやかな自殺を選ぶ」世界線を越えて、最後まで生きて生きて生き抜いてくれる、はず!!!

 

そして慰めてもらって復活したら、梅ちゃんの仕事を手伝いながらとたんに「薪は人を3回温めるという話を知っていますか……」とかトリビア披露。ここにも山南さん的、ジェントルなのにちょっとイケてないめんどくさい男子の雰囲気が(笑)。 

 

次回、城攻め。甲冑をつけた若様に期待!